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十二世紀の中国、北宋末期。重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいた――。世直しへの強い志を胸に、漢(おとこ)たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作、全十九巻。
(著者紹介)
北方謙三(きたかた・けんぞう)
1947年唐津生まれ。中央大学法学部卒。81年『弔鐘はるかなり』でデビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞を、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長編部門を、91年『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞を受賞。また、2004年『楊家将』で第38回吉川英治文学賞を、06年『水滸伝』(全19巻)で第9回司馬遼太郎賞を受賞。10年に第13回日本ミステリー文学大賞を受賞。ほかの著書に『三国志』(全13巻)、『史記 武帝記』などがある。 |
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中国の「水滸伝」には数々の版本がある。
大別すると二種である。南宋(なんそう)から元(げん)にかけて演劇などでとりあげられていた「水滸戯」を、明代に羅貫中とか施耐庵(したいあん)とかが編纂(へんさん)したともいわれる百二十回本と、清(しん)初に金聖嘆(きんせいたん)が編纂した七十回本である。
そも、百二十回本の「水滸伝」とは異民族の脅威にさらされている北宋(ほくそう)末、徽宗(きそう)皇帝の頃、官に容(い)れられなかった軍人、文官から僧侶、豪族、盗賊、漁師などの百八人が巨大な湖に浮かぶ梁山泊を本拠にして、時の朝廷に反乱した。そして、何度も戦闘で勝利しながらも、招安(しようあん)を受けて帰順し、今度は朝廷の走狗(そうく)となって、異民族と戦わされて滅びていくという長大な物語である。
その百八人の英雄、豪傑たちが梁山泊に集うまでの七十回までは、まことに胸が躍る痛快譚だが、官の手先となって百八人のうち八十人近くが犬死していく後半はまことにつまらない、そう考えた清代の金聖嘆は、後半を捨てて、百八人が集うまでの七十回をもって定本「水滸伝」と決めてしまった。以後、中国では「水滸伝」といえば金聖嘆版七十回本と信じられ、それは毛沢東の時代まで革命の書として愛読されてきた。
北方「水滸伝」は、かつて金聖嘆が百二十回本「水滸伝」に異議を唱えたように、既成の「水滸伝」に異を唱えた結果である。しかし、金聖嘆の異は、当時の明末の時代背景を踏まえ、印象批評による後半の削除にとどまったようだが、北方謙三の異は、豊穣な近現代小説の歴史を踏まえて、中国版「水滸伝」の物語の構造に立ち入った異議である。それは、強引に要約をすれば、以下の三点に集約される。
一 断片的な講談や演劇を長編化したせいで、作中の時間の流れが恣意的で、精読するにいつ何が起こっているのか、誰が何をしているのかが、きわめてあいまいなこと。
二 人物の個性が数人を除いてはあいまいで、単純で粗暴な乱暴者とか、忠義な武将とか、人格者の地方豪族とかが複数登場して、その描きわけができていないために、物語全体を通読すると、著しく起伏に欠けること。
三 あくまで百八人の英雄が偶発的に梁山泊に集結したとされているが、そのために筋立ては偶然につぐ偶然の集積になってしまったこと。
北方謙三はこの三点をクリアすれば、言葉の真の意味での新しい「水滸伝」を構築できると確信して、その難関に挑戦した。
一については膨大な時制表を作成し、不要なエピソードや意味のない反復に大鉈(おおなた)をふるい、また挿話を追加して、物語の中の時間の流れの一本化をはかっている。そのために、きわめて読みやすくなり、山場が無理なく連続していく結果となっている。
二については北方「三国志」で呂布(りょふ)の性格を変えたようなことを完全に徹底して行った。たとえば、人気登場人物のひとり、花和尚魯智深(かおしょうろちしん)。中国版では、稚気あふれているが、酒乱の乱暴者。人助けのために殺人を犯し、出家して放浪の後に梁山泊に流れつく。北方版では、総帥宋江と少年の時からのつきあいで、宋江の語る世直しの檄(げき)を筆写して「替天行道(たいてんぎょうどう)」という冊子にし、それを持って全国を行脚する。全能の伝道師、という役どころである。
三については、偶然を必然に変更している。つまり革命をめざすふたりの首領、宋江と晁蓋(ちょうがい)が綿密な戦略のもとに、経済力を闇塩によって入手し、しかるべき人材をてなずけ、来るべき戦闘の本拠として梁山泊を入手した。梁山泊にただ迷いこんで来た者はひとりもいない。
全十九巻の北方「水滸伝」はかくのごとき作品である。
この北方「水滸伝」全巻が、しかるべき後、かつての金聖嘆版七十回本が「水滸伝」定本とされたように北方「水滸伝」が定本になる。 |
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6月下旬
一 曙光の章/二 替天の章/三 輪舞の章/四 道蛇の章/五 玄武の章 |
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7月下旬
六 風塵の章/七 烈火の章/八 青龍の章/九 嵐翠の章/十 濁流の章 |
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8月下旬
十一 天地の章/十二 炳乎の章/十三 白虎の章/十四 爪牙の章/折戟の章 |
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9月下旬
十六 馳驟の章/十七 朱雀の章/十八 乾坤の章/十九 旌旗の章 |
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1位 |
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林冲 |
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2位 |
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楊志 |
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3位 |
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李逵 |
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4位 |
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燕青 |
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5位 |
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史進 |
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6位 |
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武松 |
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7位 |
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呼延灼 |
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7位 |
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魯智深 |
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9位 |
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王進 |
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10位 |
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花栄 |
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10位 |
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楊令 |
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2位 |
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馬桂 |
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3位 |
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聞煥章 |
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4位 |
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史文恭 |
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5位 |
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呂牛 |
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6位 |
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唐牛児 |
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7位 |
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李富 |
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8位 |
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宋江 |
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8位 |
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徽宗 帝 |
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10位 |
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閻婆惜 |
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10位 |
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祝朝奉 |
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| ※単行本15巻発刊時に実施されたアンケート結果の一部です。 |
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