アーティストのココロを聴く 小林武史インタビュー
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「ポップっていうのは人を拒絶しないんですよね」
2005年6月23日公開
 小林武史が、坂本龍一や櫻井和寿(Mr.Children)と設立したap bankの、自分たちが拠出したお金をもとに可能性のある環境プロジェクトに低利で融資を行うという発想と仕組みはかなり新しいものだ。そして、2004年から具体的な融資も行って着実な成果を上げている。が、ここでは、それ以前の、小林の個人的な思いから話を始めよう。
「多分、前世紀は相当無自覚に、“生産、消費、廃棄”ということをやってきたんだと思う。僕自身もそうだったし、社会全体も無責任なところがあった。例えて言うならば、アクセルだけが付いてるクルマみたいな(笑)。だけど、漠然とこのままの勢いで突き進んでいっていいのかな? っていう不安もあって。やっぱりいろんな面で自覚的になっていった方がいいんじゃないかな、という気になっていた時期、坂本龍一さんが『アーティスト・パワー』というアーティストの力で自然エネルギーを促進させるプロジェクトを立ち上げて、メーリング・リスト上で環境問題についての情報交換を始めたんです。いろいろな情報を見ていると、自分たちが何をするのが一番リアルなのかがわからなくなってきた。例えば、風車を建てて、その下でライブをするのがいいのか……。それだと一時的なエイドにしかならないのではないか……。環境問題にはっきりとした正解っていうのはないわけだから、知れば知るほど、自分たちに何ができるのかを考えるようになってきたんです。
そんな中、未来バンクの田中優さんに会って、『自分のお金を自分の選択する未来のために使う』という市民のためのバンクの存在を知って、その時はまさに目からウロコでしたね。海外ではすでに事例があるけど、日本ではなかなか難しいのは、日本人のメンタリティのなかで、どこか"結局、みんな自分のことがかわいいのよ"というような感覚があるんだと思う。難しいことは上の人が決めるんだっていう、ある種の人任せみたいな感覚。だけど、今はそういう、すべてを決めてくれる人っていうのもいないわけだし。自分たちのお金の流れ、自分たちのエネルギーをつくっていくというのもあるのかなあと思ったわけです。『いいことだからやりましょう』でもなく、消費をしたい気持ちもあるし、おいしいものも食べたい。そういう自分たちが選ぶ未来っていうのを考える時期なんじゃないかなあと」


小林武史さん

小林武史 PROFILE
音楽プロデューサー。Mr.Childrenを始め、多数のアーティストの作品を手掛ける。櫻井和寿と共に立ち上げたap bankやBank Bandの活動など、常に広いフィールドで音楽と向き合っている。


撮影:三浦麻旅子
取材・文:兼田達矢
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